インコの羽に小さな点みたいなのがたくさんあるんだけど、これってダニ?
ダニの場合はどうすればいいのかな。
インコにダニが付いている場合、基本的には動物病院で診察してもらいダニを駆除してもらう必要があります。
ダニはただでさえ小さいうえにインコの羽毛に隠れて飼い主さんからはなかなか見つけにくい節足動物です。
ダニによって症状が違うので飼い主さんがなかなか気づけないことも。
さらにインコだけでなく人を刺したりするダニもいるんです。
こちらではインコに付くダニの種類や症状、人への影響や対処方法を詳しくご紹介します。
私はウロコインコを中心としたブリーディングをしてます。
この記事は専門書からの情報と私の経験から書いてます。
資格は「愛玩動物飼養管理士」を持ってます。
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インコに寄生するダニ【代表的な4種類】
ダニの種類 | インコの症状 | ダニの大きさ | 主な対処方法 | 人への影響 |
---|---|---|---|---|
トリヒゼンダニ | 皮膚の炎症やかゆみ | 0.4㎜ほどで肉眼で見えない | 駆虫薬の投与 | 人に感染しない |
ワクモ | 貧血、食欲低下 | 1㎜ほどで肉眼で見える | ケージなど住環境の消毒 | 人を刺すことがある |
トリサシダニ | 貧血、食欲低下 | 0.6~0.7㎜で肉眼で見えることもある | 駆虫薬の投与 | 人を刺すことがある |
ウモウダニ | 目立った症状はなし | 肉眼で見える | 治療しない場合もあり | 大量発生した場合アレルゲンになるおそれ |
インコに寄生するダニのうち代表的な4種類を紹介します。
トリヒゼンダニ【疥癬】
トリヒゼンダニについて説明します。
トリヒゼンダニとは
トリヒゼンダニとは鳥の疥癬(かいせん)とも言われており、寄生した鳥の体で一生を過ごすダニです。
このトリヒゼンダニが皮膚に寄生することで起こるのが疥癬症です。
大きさは成虫で0.4㎜×0.3㎜ほどで、残念ながら人の目では確認できません。
インコにトリヒゼンダニが寄生した時の症状
インコの皮膚の炎症やかゆみが主な症状になります。
感染した直後は症状が全く出ませんが、トリヒゼンダニのメスがオスとの交尾後にインコの皮膚にトンネルを掘り卵を産み進めていくことで、皮膚に炎症やひどいかゆみが出ます。
感染がひどくなると口角など顔周辺や脚周りが白くなって角質化が進み、穴の開いた軽石のような状態になります。
そのままにしておくと鼻(ロウ膜)やクチバシが変形したり変色したりすることも。
疥癬症はセキセイインコに多く見られます。
インコのクチバシや脚が白くなったり、かゆそうなそぶりを見せたりしたら早めに動物病院で診てもらいましょう。
動物病院での治療はダニを退治する薬の投与が中心です。
駆虫薬は成虫のダニしか効かないため、インコの皮膚に産み付けられた卵が孵化するタイミングで何度か投与が必要になります。
人への影響
インコに寄生するのはトリヒゼンダニといわれるダニで人には感染しません。
インコに寄生するトリヒゼンダニは人に感染しませんが、人にはヒトヒゼンダニというダニが寄生して疥癬症を発症させます。
いずれにしてもダニには注意が必要ですね。
人には感染しませんがインコ同士では感染するため、多頭飼いしている場合はほかのインコにも感染している可能性が高くなります。
感染が疑われるインコを一緒に治療する必要があります。
多頭飼いの場合は通院が大変だけど治る病気なのでがんばるばい。
ワクモ
ワクモについて説明します。
ワクモとは
ワクモとは大きさ0.7~1.0㎜の吸血性のダニで赤黒い色をしています。
名前に「クモ」とありますが蜘蛛ではありません。
インコに限らず幅広い種類の鳥類から見つかっており、野鳥などからも感染します。
ワクモは約9日間で卵から成虫となり吸血と産卵を繰り返すようになります。
夜になるとインコに取り付いて血を吸い、昼間はインコの体から離れてケージの隙間などに隠れて繁殖して、数万匹単位の集団を作ることも。
夜間にインコから血を吸うだけでインコ自体に寄生しているわけではないので、昼間のインコを観察してもなかなか気づきにくい種類です。
インコにワクモが寄生した時の症状
ワクモは夜間にインコを襲うため、暗くなってからインコが暴れたり貧血になったりすることがあります。
かゆみのストレスで羽根づくろいが増え、食欲が低下して元気がなくなってしまうことも。
インコが貧血になっていると、クチバシや脚の色が健康なときと比べて白っぽくなります。
人への影響
このワクモ、なんと人の血を吸うこともあって刺された場所がとてもかゆくなります。
ワクモの退治もなかなか根気がいる仕事ですが、ワクモは65度以上の熱に弱いのでケージやインコ用品を熱湯消毒することがおすすめです。
ケージの隙間やつなぎ目のほか、金具の裏側、止まり木とケージの接続部分など目につかないところに隠れていることが多いばい。
トリサシダニ
トリサシダニについて説明します。
トリサシダニとは
ワクモと同じく吸血性のダニです。
大きさはワクモよりやや小さく体長0.6~0.7㎜で、灰色もしくは深赤色をしています。
ワクモと大きく違う点は、トリサシダニはインコに寄生してインコの体表で一生を過ごすというところ。
ワクモは梅雨から夏にかけて大量発生することがありますが、逆にトリサシダニは夏に少なくなります。
インコにトリサシダニが寄生した時の症状
ワクモと同様にトリサシダニもインコの血を吸うため、貧血症状や食欲低下などの症状が出るようになります。
人への影響
トリサシダニは人を刺して吸血することもあります。
刺された場所は赤くはれてかゆくなります。
ウモウダニ
ウモウダニについて説明します。
ウモウダニとは
ウモウダニとは数千種類におよぶウモウダニのグループの総称です。
セキセイインコによく見られますが、インコに限らずその鳥類ごとにウモウダニが生息し主にその鳥の体表で過ごします。
ウモウダニはインコの尾羽や風切羽の羽軸周辺で見かけることが多く、黒いぼつぼつが点在しているように見えます。
インコにウモウダニが寄生した時の症状
ウモウダニの場合、実はほぼ症状がなくインコに悪さを働きません。
「インコにダニが寄生している」というよりも「インコの羽にある老廃物や微生物などの有機物を食べて羽をきれいにする共生関係」にあるとする説も。
ウモウダニはインコ自身の羽繕いで駆除されます。
そのためインコにウモウダニが見つかっても治療するかしないかは獣医師によって判断が別れます。
人への影響
人を刺したりはしませんが、大量発生した場合アレルギーの原因となるおそれがあります。
インコのダニ対策【ダニの侵入経路と効果的な消毒方法】
インコのダニ対策としてダニの侵入経路と効果的な消毒方法を説明します。
インコに寄生するダニの侵入経路
家の中で暮らすインコにダニが寄生する場合、以下のような侵入経路があります。
- ペットショップにいたときからダニが付いていた。
- 飼い主さんがペットショップや鳥カフェに出かけた際にダニやダニの卵を家に持ち帰ってしまった。
- 野鳥や野鳥の巣などからダニが這い出して家に侵入してしまった。
- インコの日光浴や散歩の際に野鳥と接触してしまった。
- ペットホテルの利用時や鳥友達の集まりで他のインコからうつされた。
インコを連れて外出するときは、出かけた先の衛生状態に注意が必要です。
特に野鳥はダニだけでなくいろいろな病原性微生物を持ってるので野鳥との接触は絶対に避けてください。
飼い主さんがペットショップなどでほかのインコや鳥類と触れ合ったあとは、手洗いや消毒を徹底しましょう。
ペットショップや鳥カフェから帰ってきたときは、さらに入浴して着替えをするのが理想ですね。
玄関先にツバメの巣がある場合も注意するばい。
ダニに効果的な消毒方法
月に一度はケージなどの殺菌・消毒を行いましょう。
衛生的な環境がダニや雑菌の繁殖を抑えます。
日光消毒できるようにお天気のいい日がおすすめ。
効果的な消毒の3つの手順
ケージを分解してこびりついたフンをヘラなどでこそげ落とし、細かいところまでスポンジで水洗いしましょう。
ヒマワリの種など油分が多いシードを食べさせている場合は、ケージに油汚れもついています。
水だけで落ちない場合はぬるま湯を使います。
洗剤はできるだけ使わない方が安全ですが、汚れが落ちない場合は食器用洗剤を使いよく洗い流しましょう。
水洗いが終わったらお湯をかけて熱湯消毒を行います。
ケージなどに潜むワクモは65度以上の熱で死ぬので隅々まできっちり熱湯をかけてください。
プラスチック製品は熱湯をかけると変形するので熱湯消毒には向いていません。
最後に乾燥を兼ねて日光消毒をしましょう。
日光消毒は紫外線消毒ともいい、紫外線をあてることでカビや微生物などを殺菌する力があります。
紫外線の多い10時から14時くらいに干すのが効果的です。
放鳥時に羽根やフケも飛び散ります。お部屋自体もこまめに掃除機をかけるなどしましょう。
生き物を飼うって本当に大変ばい。
薬剤による消毒
熱湯消毒や日光消毒を行えば薬剤による消毒は無理に行う必要はありません。
ただインコの体内に寄生する内部寄生虫やウイルス感染症の予防としては、薬剤による消毒が有効です。
消毒薬はきちんと洗い流してインコの口に入ることのないようにしてください。
ペットショップやホームセンターなどでペット用の除菌スプレーや薬剤が売られていますが、使用する場合は成分や使用方法をよく確認しましょう。
まとめ
インコにダニが付いているようなら動物病院で診てもらいましょう。
インコに寄生したダニを駆除するだけでなく、ダニの侵入を阻止することも大切です。
飼い主さんは、ペットショップからの帰宅時には手洗いや消毒を徹底しインコをダニから守ってください。
野鳥との接触にも注意しましょう。
月に一回はケージやエサ入れなどを徹底的に洗浄、消毒して衛生的な環境を保つことが重要です。
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