「犬はなぜ吠えるの?」
「吠えのしつけの方法は?」
「良いしつけ方法はないの?」
よく言われるしつけはビックリさせたり引っ張ったりと体罰っぽくて嫌だけど、他にどうやって教えてあげたらいいのだろう。
そう思っている方が居るのではないでしょうか。
この記事では、愛犬との信頼関係を壊さずにしつけする方法や、犬がなぜ吠える理由を犬と人の歴史と犬の習性からお話しています。
読んだ後、理由を知った事で「なんで吠えるの」と思っていたネガティブな気持ちも、愛犬の想いが分かるようになって見かたが180度変わるかもしれません。
紹介しているクリッカートレーニングも、このトレーニングを使用しているショーのイルカと飼育員さんに大きな絆があるように、実践してみたら愛犬があなたをもっと好きになり、安心し、みるみる「吠える」ことも必要としなくなるでしょう。
この記事は専門書からの情報と私の経験から書いてます。
資格は「愛玩動物飼養管理士」を持ってます。
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【楽しいしつけ】犬のクリッカートレーニングとは?
クリッカートレーニングとは、主にイルカショーのトレーナーが使うトレーニングの事です。
まず、飼育員がイルカに「笛が鳴る=魚がもらえる」とご褒美の合図を教えます。
そして、イルカがしてほしい行動をしたタイミングで笛を吹いて(正解だよ、と褒めた事になる)、ご褒美をあげる事で、一瞬のタイミングの行動、離れていても教えらるトレーニングです。
罰が無いのが大きな魅力で、イルカを犬のしつけの様に、リードを引っ張ったり、ビックリさせたり叩いたり、罰を与えるしつけをしようと思っても、悠々と泳ぐ野生動物のイルカには通用しないですよね。
そこで生まれたトレーニングが、ご褒美制の楽しい当てっこゲーム感覚でできて、対等な関係でいられる、クリッカートレーニングです。
このトレーニングを取り入れて犬に使うトレーナーもいるのです。
犬の場合は笛だと音が大きすぎるので、クリッカーという押すと「カチッ」と音のなる道具を笛の代わりに使います。
クリッカーが無い場合は、ボールペンのクリック音でも犬が聞き取れる環境なら使えます。
クリッカートレーニング前の大切な準備
クリッカートレーニング前に最適なオヤツの準備と、クリッカーの音の意味を教えます。
- 犬が15~20個食べても満腹にならない大きさのオヤツを用意します。
- クリッカーの音とオヤツ(ご褒美)を結びつけをしておきます。
オヤツは犬が噛むのに時間が掛かるものは避けて、パクっと食べやすいものにしてください。
オヤツの用意が出来たら、飼い主はすぐに取れて犬には届かない位置のお皿や、ポケットに入れておきます。
次に、音とご褒美の結びつけをして、犬にクリッカーの音の意味を教えます。
まず、クリッカーを鳴らしてオヤツを与えるを何度か繰り返します。必ず音が先、オヤツが後です。
そして、クリッカーを鳴らしてオヤツを投げてみたり色々な所へ出します。
さらに場所も変えてやってみることで、オヤツは色々なタイミングで出てくるという事を教え、特定の場所だけでしかできないという事も防げます。
犬が覚えたかなという確認は、クリッカーを鳴らしてご褒美をあげる前に数分待ってみて、鼻を鳴らしたり吠えたりと、オヤツを探す素振りがあれば覚えています。
クリッカートレーニングの方法
クリッカートレーニングは、クリッカー音で動作を教えた後に言葉付けをします。
そして、クリッカートレーニングは主に3種類の代表的な犬への教え方があります。
- キャッチング法→犬が自然とその行動をするまで待つ。(唯一のデメリットは時間が掛かる事)
- ルアー法→犬が目標の行動をするようにご褒美(オヤツ、オモチャ)で誘導する方法。
- シェイピング法→細かいステップに分けて教えていく方法。(複雑な事、完璧な形で教えたい場合に有効)
ここでは、犬に「お座り」を教える例で話します。
キャッチング法は、犬が自然と座る瞬間まで見守り、座った瞬間にクリッカーを鳴らしてご褒美を与えて教えます。
ルアー法は、オヤツを犬の鼻の先から頭上へもっていくように誘導すると、犬は自然と床におしりがつきます。
犬のお尻が床に着いた瞬間に、クリッカーを鳴らしてご褒美を与えて教えます。
シェーピング法は、1.犬が立ち止まる→2.犬が上を見る→3.犬のおしりが床に着く、のステップを踏んで教え、目標に近付けていく方法です。
最後に、犬が「お座り」の動きが出来るようになったら言葉を付けます。
クリッカーを鳴らすと同時に言葉をかけ、段々と言葉のみにして繰り返して言葉を覚えさせて、動作と言葉を関連付けます。
最終的に動作が習慣になってきたら、オヤツを与えないで褒めることをご褒美としてもいいです。
これで完成です!
このように、基本の仕組みといくつかの方法を使って、犬に教えたい行動のトレーニングレシピを自分で作ることができるしつけがクリッカートレーニングです。
打ち消す行動を教える
犬が同じ行動は同時にできない為、悪い事をしそうになったら「お座り、マテ」などをさせる。
そうする事で、犬が「お座り、マテ」してた方がご褒美も貰えるしいいやと思いはじめ、繰り返すことで悪い行動が消えていきます。
タイムアウト法(楽しい時間はお終い)
トレーニング中に興奮して噛みつく、飛びつくなどが出た場合に、オヤツやクリッカーをもって飼い主がその場を去ったり、犬をサークルの中に入れます。
犬は「何か悪いことしたの?」とポカーンとしている事でしょう。繰り返すことで学びます。
クリッカートレーニングで大切な事
クリッカートレーニングで大切なことは2つです。
- 大好きなご褒美
- 正しいタイミング
まず、犬の本当に大好きなおやつをご褒美にしてください。
このトレーニングではご褒美がオヤツになる為、愛犬が好きな物でないと十分な効果が発揮できません。
それと、犬がしてほしい行動をした正しいタイミングで、クリッカーを鳴らします。
クリッカーを鳴らすタイミングのずれで、犬へ混乱させずに伝わったかで、犬の覚えが速くなったり遅くなったりします。
クリッカートレーニングのメリット
クリッカートレーニングのメリットは沢山あります。
- 褒め方にばらつきがでない
- しつけたい一瞬を教えられる
- 離れたところからも教えられる
- 罰が無いので犬にネガティブなしつけのイメージを与えない
- ゲーム感覚で犬も喜び、飼い主をより信頼してくれる
家族で犬を飼っている場合、褒め方や怒り方と声のトーンでばらつきが出ますが、クリッカーがあれば同じ音、短い音で鳴るので、沢山の人の話し声の中で鳴っても、犬がちゃんと聞き分けられます。
それに、短い音というのが、犬がどんな細かい動きをしてもその瞬間にクリッカーを鳴らせば「それはいい行動だよ」と何でも犬に教えてあげられるのです。
私はこのトレーニングの最大の魅力だと思っているのですが、クリッカートレーニングには罰がありません。
引っ張ったり叩いたり、怖がらせる、罰のある今までのトレーニングはしつける側は楽ですが、犬にとってはマイナスしかありません。
飼い主との信頼関係が壊れたり、しつけによってさらにストレスを抱えて他の問題行動が出ることで、さらに矯正トレーニングをする。といった負のループになりかねないのです。
クリッカートレーニングは始めてみたら、トレーニングというよりも、犬も自分も楽しいゲームになっていて互いの絆も深まり、愛犬も喜んで「もっかいやろうよ!」と笑顔で走って来ます。メリットしかないトレーニングです。
クリッカートレーニングのデメリット
クリッカートレーニング唯一のデメリットはクリッカーを鳴らすタイミングが難しいことです。
クリッカーの短い音で愛犬がした行動を一瞬で「正しい事だよ」と、褒めてあげられるというメリットもあるのですが、一瞬だからこそ、教えたい動きが繊細なものほど、正しいタイミングをとらえてクリッカーを鳴らすことが難しいのです。
慣らすタイミングがいい程、犬が飼い主に何を褒められたか伝わりやすくなり、覚えも一段と速くなります。
犬はなぜ吠えるの?
自分の要求を伝えたいから吠える
何かしてほしい時に犬は吠えます。
何かしてほしいという愛犬の要求の「吠え」を、飼い主が可愛さゆえ、また、知らず知らずのうちに叶えてあげる事で、結局は人間の困る、問題行動になっていたりします。
例えば、犬目線で見ると以下の様な出来事があります。
- 散歩中に大好きなワンちゃんに会った時、[「吠えて引っ張った」→飼い主がその子の近くまで行ってくれた。
- 怪しい配達員て人が来た時、「吠えて威嚇した」→配達員がいなくなってくれた。(配達員が帰っただけ)
- サークルに入れられた時、「寂しくて吠えた」→飼い主がサークルから出して遊んでくれた。
すべてマイナスな方向に吠えることを許してしまっていますよね。
こういった経験から、犬は吠えて伝えればそれが偶然であっても、人に叶えてもらったという成功体験を経験して、学習しているのです。
飼い主が愛犬の思うツボにならないことが大切です。
警戒心や恐怖心から吠える
犬は、知らないものや音に対して「飼い主(ボス)、何か来た!」「こわいよ」という気持ちを表して鳴いています。
犬達は野生だとほとんど吠えませんが、危機迫ると仲間へ伝える為に吠える習性から、番犬にいいと人間に古くから飼われてきました。
そして犬に、狩りをさせたり、牧場の動物をまとめさせたりなど一緒に仕事をする為に、「吠える」という事に注目して吠えやすい犬を交配させて、人間が新しい飼い犬としての種類を作ってきたのです。
今では人間社会に危機迫る状況はなく、仕事も犬の代わりに機械がしてくれて、家庭で犬が吠えるとそう犬を作ったはずの人の方が、嫌がる事態になってしまっています。
犬はただ、家族のリーダーである飼い主へ危険を知らせる為に吠えていたりします。
こうゆう場合、飼い主が怒ったところで犬は、「こら」「やめなさい」などの大声で短く言う人の言葉を、吠え声だと理解するので、リーダーが警告していると思った犬はますます死に物狂いで吠えます。
まずは飼い主が「大丈夫だよ」とリラックスした態度で愛犬を撫でて落ち着かせましょう。
そして、小さなころに色々な人や物と触れ合った事のない、社会化ができていない犬は警戒しやすく吠えやすいです。
吠えにくい犬にする為にも、警戒心より好奇心が多い子犬の頃から愛犬をどんどん外に連れて行き、社会に慣れさせることがとても大切なのです。
ストレスが溜まっているから吠える
犬はストレスが溜まっている時、吠えやすくなります。
犬は、野山を駆けて、周囲の匂いを嗅ぐことでご近所の情報を得て(人間でいうSNSやニュース感覚です)安心し、満足していた動物なので、人間の家の中では刺激が足りません。
また、愛犬のお留守番の多い家や、日中犬をサークルに入れている家庭の場合、犬が運動不足で構ってもらえる時間が少なすぎてストレスが溜まっている場合があります。
ストレスが溜まっていると、犬の要求吠えが激しくなって「かまってほしい!こっちむいて」という気持ちも大きくなります。
人間でもお休みの日にリフレッシュできないと心に余裕がなくなってきますよね。
普段から愛犬とコミュニケーションをとる事や、探検が好きな犬達が、匂いを嗅げて運動もできる散歩の時間は実はとても大切です。
【しつけ方法】犬が吠えるシーン別にまとめてみました
クリッカートレーニングの考え方での吠えのしつけ方法です。
インターフォンが鳴ると吠えてしまう犬のしつけ方法
クリッカーの音の代わりに、インターホンを鳴らしてオヤツをあげるトレーニングを繰り返します。
犬はインターフォンの音が鳴った時に、「テリトリーに知らないやつが入ってくる!」「大きな箱、謎の匂いがやって来る!」と、インターフォンの音と悪いイメージを関連付けて覚えています。
インターフォンの音が鳴ると知らない人が来るという犬のイメージを、「インターフォンの音=オヤツが出てくる」とポジティブに関連付けし直して教えます。
オヤツが出てくる音だとインターフォンを覚えた愛犬は、インターフォンが鳴るたびに大喜びするようになりますよ。
教えて習慣化するまではオヤツはあげてください。
ご褒美が無いと「音=何の意味もない」と理解するようになってしまいます。
習慣化したら、ご褒美をオヤツから褒めることに移行するといいです。
来客時に吠えてしまう犬のしつけ方法
犬の抱えているお客さんのイメージを、恐い人から良い人に変えるトレーニングです。
犬はお客さんの事を「テリトリーに入ってくる不審な人」と思っていて吠えます。
それを、来客があるといい事があるという風に愛犬に思ってもらいましょう。
どうするかというと、お客さんからオヤツをあげてもらいます。
お客さんにクリッカーを鳴らしてオヤツをあげてもらいましょう。
犬にとって日常からクリッカートレーニングをしていると、「オヤツを貰える楽しいゲーム」とポジティブなイメージを持っています。
そのため見ず知らずの人でも、クリッカーを鳴らしてゲームが始まると「いつもの楽しい遊びをしてくれるぞ!」と、犬も安心しやすいです。
家族以外が近づくと低い声で唸ったり、構える犬は近づくことが犬にとってストレスになるので、犬に対して興味が無いフリをしたりオヤツも遠くから投げてあげましょう。
サークル内での要求吠えをする犬のしつけ方法(クリッカートレーニングを使う場合)
クリッカートレーニングでこの吠えをしつけようと思ったら、「打消しの法則」を使います。
まず、トレーニングで「フセ、マテ」を完璧にトレーニングして慣れておきます。
そして、長く待てるように何秒、何分、何十分と時間を伸ばしていきます。
長く「フセ、マテ」出来るようになったら、寝る前に「フセ、マテ」と声をかけてリラックスできる体制で待たせておきます。
クリッカートレーニングで習慣化できた動きは、ご褒美もオヤツ→おもちゃ→褒めるに移行していったり、犬にとって長時間でもその動きをしやすくなります。
いまの説明の「フセ、マテ」の言葉だと、かしこまって犬を待たせているように思いますが、他の言葉「休め」で教えてもいいです。
このしつけは、長時間リラックスできる体制で犬を待たせる。というトレーニングを応用する方法なのです。
また、犬の習性をしっかり学んで、愛犬の犬種がどんな環境が落ち着く犬なのか見直して、本当に愛犬が安心できる寝床環境にしておくことも大切です。
サークル内での要求吠えをする犬のしつけ方法(無視する方法)
また、要求吠えには一般的に無視する方法もあります。
ですが、あの高くて「クーン、キャンキャン」という声は飼い主としては心が揺れてしまって無視しにくいですし、なぜなのだろうと思いますよね。
それには理由があって、犬や他の生物の高い声の鳴き方は、耳に響く音でできています。
なぜなら、「はやくきてほしい」「お腹すいた」など母親や群れが、救いを求める家族の声を察知しやすいようできているからです。
それに、反応が無いと声は強く激しくなるので、無視が辛く感じてしまうのです。
愛犬の性格によって何日、数週間は飼い主さんは辛いかもしれませんが、子供が育った環境に違和感を覚えないように、子犬ほど住んでいる家の環境に適応していきます。
可愛い時期で無視は辛いですが、愛犬が小さなうちに部屋を別にする、朝起きたらいっぱい褒めて遊ぶ時間を作るなどして乗り越えましょう。
ただ、近所迷惑で嫌がらせなど緊急の場合は、トレーナーに相談しましょう。
また、日中留守や、飼い主さんに遊んだり構ってもらえる時間が少なかったり、散歩不足で体力の有り余る中でのストレスで、夜泣きが出やすい場合もあります。
愛犬の生活環境を見直してあげる事も大切です。
知人にはトイレのしつけを完璧にして、愛犬を自由にお家で過させることでストレスが減り、夜泣きが無くなった人も居ますよ!
まとめ
吠えることに困る人も沢山いますが、犬と人の歴史をたどれば人間によって仕事させやすい、吠えやすい遺伝子に掛け合わされてきた犬達。
その歴史を知らない現代の人には迷惑がられるという理不尽な環境に犬達はいます。
犬とうまく生活していく為には、まず犬を知る事と、犬のストレスを減らしてあげて、自分達に合ったトレーニング方法をやってみることで、いがいとあっさり悩みは無くなったりたりします。
まずは大切な愛犬というパートナーの気持ちに寄り添って、一緒に新しい事にもチャレンジしてみてくださいね。
この記事でこんな方法もあるんだと知って、少しでも助けになれたら嬉しいです!
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